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JHD&C×あいともに 座談会-1

発達障害と日本社会での生きづらさについて、また非営利団体とお金のことなどについて、あいともにの下坂さんと率直な意見を交わしました

あいともに
あいともに代表 下坂氏(左)とJHD&C代表 渡辺(右)

JHD&Cのホームページやシステム運用をお願いしているIT企業のトライン。そのトラインの代表取締役下坂清周(しもさか きよかね)さんが代表理事を務める一般社団法人「あいともに」は、障害者や未就労者の方がより社会進出できるよう、ITとコンテンツの力により誰もが「ともに生きられる社会」を目指す非営利団体です。

この座談会では、発達障害と日本社会での生きづらさについて、また非営利団体とお金のことなどについて、JHD&C代表渡辺と率直な意見を交わしました。

JHD&C×あいともに 座談会

「JHD&C」と「あいともに」「トライン」の関係

渡辺:
どうぞよろしくお願いします!
下坂さんにはいつも「トライン」というIT企業として、JHD&Cのウェブサイトの運営やシステム構築でお世話になっていますので、改まってインタビューというのも、なんだか少し気恥ずかしいですね(笑)

下坂さんが代表を務めていらっしゃる、一般社団法人「あいともに」は障害者および未就労者の社会参入増進を図ることを目的とされています。JHD&Cとの直接の関りとしては、チャリティファンディングの返礼品の発送をお願いしています。

今日は、同じ非営利団体の代表として、また「お金」のことについても伺えたらと思っています。

下坂:
こちらこそ、今日は楽しみにしていました。どうぞよろしくお願いいたします。

あいともに設立のきっかけ、マイノリティと日本社会の同調圧力

渡辺:
下坂さんは、トラインというIT企業と、あいともにという慈善団体の両方の代表を務められていますよね。始められて今、何年目ですか?

下坂:
8年目です。その前は出版業界にいました。誰かと誰かを結びつけて、第三者にいろんな情報や意見を伝える編集という仕事で、ある種、コーディネートなんですね。そこにやりがいを感じて8年半ほど勤めた後、あるIT企業からお誘いが来ました。まだまだインターネットがダイヤル回線通信の時でしたね。

私は文系なもので、一から学校に通って勉強して、金融業、保険業やメーカーその他のウェブサイトを作りながら、いろんなシステムを開発していきました。その中で、eラーニングやアプリ関係の発想が自分の土台としてできてきました。

あいともにのオフィスで業務にあたるスタッフの皆さん

渡辺:
一般社団法人あいともには、いつ立ち上げられたんですか?

下坂:
トラインとほぼ同時です。今まで在籍した会社は非常に厳しい営利集団で、特にクオリティや収益性を厳しく問われる金融関係の分野で20年近くやり続けた中で、このまま営利にだけ走っていいんだろうかと強く感じ始めていました。

だったら、新たに一般社団法人を作って、困っている人々や問題に寄り添っているような団体のフォローアップができないかという思いで、あいともにを立ち上げました。私がトラインの社長とあいともにの代表を兼務し、トラインの社員に理事になっていただいて、社会の「影」にあたる部分をなくすためのアプローチを行うことをミッションとして大きく掲げています。

渡辺:
社会の「影」とは、どういうことですか?

下坂:
いわゆる社会の問題点のようなものですね。大多数の人が光の当たる部分にいるとしたら、何か問題や悩みを抱える少数の人たちは、その光の影になってしまう。

でも、影だと思っていた部分に他から光を当てれば違う色に見える、実は黄色だった、赤だった、青だった、つまり影ではなかったということは十分ありうると思うんですよ。

それともうひとつ、あいともにを設立した大きなきっかけがあります。
もう20年もまえのことですが、私の子どもに発達障害の傾向があり、幼稚園の頃から「お子さんは小学校の普通学級では難しい」と何度も言われました。「どうして自分の子が」と思う一方で、受け入れられにくいなという感情がすごくあったんですよ。

渡辺:
社会に、ということですか?

下坂:
そうです。学校という公的な場や友人間の問題、あるいは実社会において、わが子の存在は阻害されてしまうかもしれない、マイノリティだろうなという予感がありました。
子ども自身は、嘘をつかないし真面目なんです。でも、社会に出た時には評価されるタイプではないだろうと。

その理由はたったひとつなんです。人と違うこと。人と同じことができないというたったその一点だけで、社会から「不適合者」という烙印を押され続けてしまうのではないか……そんな懸念を強く持っていました。

20年近く前のことですから、まだまだ発達障害という言葉も一般的ではなかったのですが、当時、鳴門教育大学で幼児や小児、学生の発達教育の研究をされている方にお会いする機会がありました。

私の子どもについていろんな話をする中で、発達障害とは人格形成の1つ、心の形成の1つの問題であり、決して病気ではないということを教えてもらいました。

そして私なりに、子どもにどうやって接したらいいかを考えました。うまく表現ができない、うまく人との対話が成り立たない、どうしても自分の好きなことをやってしまうという子どもに、悩みながら寄り添い続けました。

もちろん人間なので、たまにカッとなることはあります。それは人として仕方ないことだと思うけれど、きちんと謝って子どもの意見を聞くことを意識して、子どもと向き合ってきました。

渡辺:
いわゆる発達障害の傾向がある方って、24人に1人いらっしゃるという統計もあると聞きました。僕としては、例えばすごく穏やかな人がいたり、少しせっかちな人がいたり、怒りっぽい人がいたりとか、性格や性質の違いとして認知されていない日本社会の現状の方が気になります。発達障害という言葉は知れ渡ったけれども、そこに生きづらさがあって、社会的なサポートは必要だと思うんですけど。

「障害」という表記も、害をひらがなで書くことがありますよね。
僕は「障害は社会にある」と考えているのでそのまま漢字で表現しています。でも、あいともにではひらがなで表記していますよね。
それは、発達障害を抱えた当事者や家族に寄り添っているからだと思うんですね。

下坂:
そうですね。
ここ10年くらいでようやく言葉と概念が認められてきたというところですね。
どうして発達障害の傾向がある方が生きづらいかというと、日本人は「他人(周囲)と同じである」ことを望むんですね。特に教育現場ではその傾向が強いと感じます。個性的であることを排して、みんなと同じことを求められるんですよ。

渡辺:
出る杭は打たれる、というような感じですね。

下坂:
「同じことができないなら来ないでください」と、線引きをされてしまうようなところは、私が学校に通っていた時代からあまり変わっていないのではないか・・・・・・と感じます。

子どもたちは、幼少期に排他される経験をすることで、「同じようにできないことってだめなことなんだ」という深い傷を負うんです。

大人になって、日本という社会にその子たちが参加してきた時に、社会の側がどう受け止めるかということを、大人が考えておかなければいけないというミッションを常に感じていますね。

CHECK!

発達障害…
発達障害者支援法において「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されている。
引用元:文部科学省 特別支援教育について 5.発達障害について
鳴門教育大学で幼児や小児、学生の発達教育の研究をされている方…
人間教育専攻で発達臨床心理学、「発達障害児者とその家族への支援,児童・思春期のメンタルヘルス」を主要な研究分野とされる小倉正義准教授のこと。鳴門教育大学との産学連携プロジェクトとしてトラインとあいともにが開発した、社会で働く発達障害者のためのコミュニケーション支援アプリ「SSeT(セッテ)」(大阪トップランナー育成事業認定プロジェクト)の監修も務める。
参考リンク1:国立大学法人 鳴門教育大学 教員データベース
参考リンク2:大阪トップランナー育成事業認定プロジェクト紹介ページ
統計…
平成24年に文部科学省が実施した調査では、通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある児童生徒は6.5%。
引用元:文部科学省 特別支援教育について 5.発達障害について

「あいともに」の取り組み─アナログとデジタルの両輪─

渡辺:
根本的な問題は、JHD&Cの活動と全く同じですね。
髪の毛がないということで、疎外感とか、それこそみんなと違うっていう一点において生きづらさがあって、それに対する防御手段としてウィッグが必要になっている側面があると思うんです。

今、お話を聴きながらパンフレットを見ていて、これって環境に対するアプローチかなと感じました。

もちろん、ご本人が便利に使うっていう意味もあると思うんですけど、周りの人や社会に対するアプローチなんだろうなと。

ウィッグも、まさにそうなんですよね。ウィッグをなぜ被らなきゃいけないかは、結局は社会の側が持っている障害や差別感みたいなものを緩和する必要があるからなんですよ。

JHD&Cは活動開始から12年目ですが、昨年(2020年)ぐらいから、誰かがウィッグを使っているということや、髪の毛がないということに慣れてもらうというか、社会に対するアプローチを意識しています。

あいともにの取り組みを紹介するパンフレット

下坂:
おっしゃる通りです。

さきほど渡辺さんからもお話しがありましたけれど、「障害は周囲が生むもので、本人が生むものではない。差別感と疎外感はあくまでも周囲が形成するもので、本人が元から持つものではない」というのは僕も同じ考えです。社会の一種の影を増長していくのは本人ではなく周囲である、と。

こちらを見ていただきたいのですが、これは弊社が作っている「TOMONIアプリ」というアプリケーションです。
「こころスタンプ」というスタンプを用いて、LINEのスタンプのように言葉を並べて、しかも音声までつくというものです。

タブレットを使用する「TOMONIアプリ」

失語症の方や感情の表現が苦手な方、あるいは発達障害でも意思表現が苦手な方が感情を表現するためのもので、感情表現の練習としても使えます。

もともとは、発達障害のある子どもの周囲の人たち……例えば先生や支援者、保護者に使っていただけたらいいなと思って開発したんです。

しかし、子ども本人がこれを使いたいと思った時に、特に小学生の子どもが使うにはどうしたらいいかと考え、アプリだけでは不十分だと強く思いました。

そこで、現在600個ある「こころスタンプ」を紙に印刷し、ラミネートカードにしてみたんです。

発達障害のある方は、気持ちを表すのが非常に苦手なんですね。
「〇〇さん、今どんな気持ちかな、これでいうと何段階目のどの辺りかな」という質問に対して、カードを指し示して気分を表す練習をするんですが、やはり、紙に印刷するというアナログな手段は非常に有効だと実感しました。

ラミネート加工された「こころスタンプ」。さまざまな感情を表すものも

障害者の支援団体が集まって勉強会をする「アメニティフォーラム」というイベントが毎年2月に滋賀県で開催されていて、こういうツールについて説明する機会があるんですが、ある障害者施設の方から、ラミネートになった「TOMONIスタンプ」を買って拡大コピーしたものを壁に貼って使っていると伺いました。

IT化してデジタル化するということは、それを使うためのデバイス、つまりパソコンやタブレットといった端末をどうしても持たないといけないですから、端末を無くさず、問題なくそれを使えることが前提なんです。

施設の方に、障害を持った方々にも本当に扱えるんですか?と指摘された時に、自分がIT業界にずっといたことの慢心があったと感じました。

ITでどんどん最新技術を導入する一方で、アナログで誰でもアプローチできるというこの2つは、両輪として融合させるべきと考えています。

CHECK!

失語症…
脳の中の血管が詰まって脳に酸素が行かなくなったり、血管が破れて出血が起きたり、交通事故などで脳が損傷されたりした結果起きる身体のまひや言語障害などの症状のうち、脳の中の言語中枢といわれる部分が損傷を受けると出現するものを失語症という。
引用元:非営利活動法人日本失語症協議会
アメニティフォーラム…
『障害のある人の豊かな地域生活を支える』をテーマに毎年2月、滋賀県大津市で開催されている障害福祉フォーラム。
参考リンク:アメニティーフォーラムin滋賀

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