座談会

JHD&C×ガモウ関西 座談会-2

ISSUE JHD&C×ガモウ関西 座談会-2

美容ディーラーとしてサロンをサポートする仕事について、ヘアドネーションの広がりから感じられる意識の変化について、ガモウ関西とJHD&Cによる対談をお届けします。

ヘアドネーションシャンプーのこと、物流のこと

渡辺
渡辺:

JHD&Cでは2018年にオリジナルのヘアドネーションシャンプーを作りました。おかげさまで、全国の賛同サロンさんのなかでヘアドネーションシャンプーを取り扱ってくださるサロンさんも増えました。取り扱いサロンさんにシャンプーを置いていただくために、2019年6月にガモウ関西さんに初めて出荷しました。

藤本
藤本:

微力ながらも、美容の流通を担う企業としてJHD&Cさんの活動に協力できたらという思いがありました。当社にはちょうどEC(オンラインショッピング)の仕組みがありましたから、まずはそれで始めてみようと。

こちらのシャンプーは「髪を切らないヘアドネーション」として誕生したという経緯を伺ったときに、当社だけに限らずこの業界のみんなで協力できたらいいのではないか、と思ったんですね。

CHECK!

取り扱いサロン
JHD&Cの理念に共感し、その活動に協力してくださる理・美容室(サロン)のうちJHD&Cに登録しているお店を賛同サロンと呼んでいます。その賛同サロンのなかでヘアドネーションシャンプーを取り扱うサロンが取り扱いサロンです。
髪を切らないヘアドネーション
「髪の寄付はできないけれど、ヘアドネーションに参加する方法はありませんか?」
このようなお問い合わせやご要望から“髪を切らなくても参加できる新しいヘアドネーション”として、ヘアドネーションシャンプーが誕生しました。
渡辺
渡辺:

サロンさんからの反応とか、現場のお声があればお伺いしたいです。

亀井
亀井:

この2年ほどのあいだ、美容のメーカーもSDGsやCSR(企業の社会的責任)などを意識され、できるだけ環境に優しい商品を作っています。美容師さんからも、そういったアイテムを使うことで何か役に立つことがしたいという声が今後ますます増えてくると思うんです。ヘアドネーションシャンプーはまさに、そんな時に紹介できるアイテムだと思います。

当社がサロンさんにJHD&Cさんの活動とヘアドネーションシャンプーをご紹介すると、多くのお店が既にJHD&C賛同サロンなんですよ。ヘアドネーションシャンプーを「買いたい」というサロンさんが毎月いらっしゃるのは嬉しいですし、より多くのサロンさんに認知を高めることも流通を担う者として取り組んでいきたいですね。

CHECK!

SDGsの17の目標

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。17の目標は以下の通り。

  • 貧困をなくそう
  • 飢餓をゼロに
  • 全ての人に健康と福祉を
  • 質の高い教育をみんなに
  • ジェンダー平等を実現しよう
  • 安全な水とトイレを世界中に
  • エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤を作ろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • つくる責任 つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を
  • 海の豊かさを守ろう
  • 陸の豊かさも守ろう
  • 平和と公正をすべての人に
  • パートナーシップで目標を達成しよう

参考リンク:外務省ホームページ「SDGsとは?」

SDGsポスター 国際連合広報センターより

SDGsポスター 国際連合広報センターより

藤本
藤本:

ただ、ディーラー業としては、他の取扱商材とのバランスも重要です。

渡辺
渡辺:

それはもちろんそうですよね。次々に新しい商品が出ているでしょう。

藤本
藤本:

はい。ですから、ヘアドネーションシャンプーについてはその性質上、継続的なご協力をしていければ、と思っています。先日、『31cm』が出版されましたが、サロンさんとお話しをさせていただくとても良いきっかけになっています。『31cm』は当社の各拠点にも置いているんですよ。当社の社員が読むことで、ヘアドネーションについてより深く知ることができます。

CHECK!

31cm

JHD&Cがヘアドネーション活動に込めた10年間の足跡をまとめた書籍。ドナー、美容師、脱毛当事者(レシピエント)、医療者といった、ヘアドネーションに関わる多くの声を集めたビジュアルブック。本のタイトル「31cm」は、フルウィッグ(頭をすっぽりと覆うウィッグ)に用いる毛髪の世界的な基準である「12インチ」をセンチメートルに換算した「31cm」に由来。

31㎝の詳細

変化していく意識、価値観について

渡辺
渡辺:

先程、SDGsというお話が出ましたが、僕もひとりの美容師として、美容の本質が変わってきているんじゃないかと年々強く感じています。

ヘアドネーションは「ロングヘアからショートヘアにスタイルチェンジする」ということですから、サロンで行うこと自体は通常のプロセスと変わらないと思うんですが、ドナー(髪の毛を寄付する人)は「誰かのために伸ばしてきた髪をしっかり役立ててほしい」と思っていらっしゃるし、伸ばしているあいだや切った後の髪型にも、清潔感とかヘルシーさを大切にされることが多くなっている。

お客さまがサロンに求めているものが少しずつ変わってきているような気がするんですけど、それがメーカーの新製品にも反映されているということはありますか。

亀井
亀井:

より意味のあるものにシフトしているということはあるでしょうね。

私が家族ぐるみで仲良くしているご家庭の、生まれてからずーっと髪を伸ばしていた小学1年生の女の子が髪を切ったんですけど、それが実はヘアドネーションのためにJHD&Cさんに送るということでした。

髪を短くするって当たり前の行為に思えますが、そこに「自分でできる、誰かの役に立てることを」という意思が込められたとき、意味のある行為になりますよね。

藤本
藤本:

そういう意識はさらに高まってくるのでしょうね。私たち流通に関わる企業やサロンの意識も問われているように思います。

座談会のようす:(左)JHD&C代表

座談会のようす:(左)JHD&C代表

渡辺
渡辺:

確かに、カラー剤やパーマ剤といったケミカルなものでも、洗って流すときにはなるべく害がないようにするための研究開発に舵を切られているメーカーもありますね。

藤本
藤本:

美容師さんがカットした後のレッスンウィッグもそうですね。レッスンウィッグは産業廃棄物なので焼却処分しないといけないのですが、自然に還るものではないので、すごく無駄を感じるんですよ。

渡辺
渡辺:

あれ、ウィッグをかけておくスタンドに最適なんですよ!
よくあるマネキン型のウィッグスタンドはツルツルしていて引っ掛かりがなく、ウィッグをかけてブラッシングしようと思っても滑ってすぐに外れてしまう。でもカット後のレッスンウィッグ=ヘッドマネキンは、切り残した毛がウィッグのグリップになるんです。今、JHD&Cではウィッグと一緒に組み立て式の簡易スタンドをプレゼントしているんですけど、本当はあのマネキンが一番いいんです。衛生的な問題などもあると思いますが、そこがうまくマッチングできれば面白いですよね。
例えばあのマネキンを1台買えば、植毛の部分はベリっと剥がせて何度でも使用できるレッスンウィッグは作れないんですか?

藤本
藤本:

実は、昔はあったんですよ。だけど定着しなかったなあ。買う方が安いからでしょうね。今だったら、環境とコストのバランスがうまく取れたものが生まれる可能性はありますね。

渡辺
渡辺:

価値観や評価も変わっていますから、今なら受け入れられそうですよね。

CHECK!

レッスンウィッグ

美容師さんがカットやパーマの練習のために使用する頭部だけのマネキンのこと。モデルウィッグともいう。シリコン製で、人の頭を模して頭髪が植え付けられている。美容技術の習得に不可欠。

レッスンウィッグ

コロナ禍とこれからの美容業界について

渡辺
渡辺:

今、残念ながらサロンの廃業件数も非常に多くて、それを実感することも多いんです。賛同サロンを辞退したいという連絡があって、理由を聞いたら閉店しますとか、5店舗営業していたのを2店舗にしますとか、10店舗を半分に減らしますとか。
コロナの影響を受ける中で、ガモウ関西さんならではの取り組みがあれば教えていただけますか。

藤本
藤本:

当社は自社のECを活かして全国のサロンに商品を届けられる仕組みを構築しています。つまり、サロンのECの代行ですね。

10年以上前からやっていることなのですが、コロナ禍で急に需要が高まったことを受けて、昔からのシステムを今の時代に合うようにリフレッシュして対応しています。

亀井
亀井:

Aのサロン、Bのサロン、Cのサロンのサイト管理を当社が行う仕組みです。コンテンツ制作や管理、お客さまからのご注文の決済などを代行します。お客さまからご注文をいただくと商品を直接お客さまにお送りして、ご入金後にサロンに商品代金をお返しするという感じで、サロンのECをサポートさせていただいています。

渡辺
渡辺:

僕も美容室を経営しているので痛感していますが、サロンワークとEC管理の両立はとても大変ですよね。各サロンのHPに、サロン独自のECページがあって、その裏側の大事なところをガモウ関西さんが担っていらっしゃるんですね。これはサロンにとってもありがたい取り組みだと思います。

藤本
藤本:

当社は「美容室の本部」をコンセプトにしています。サロンにとってこの先に必要なこと、でもなかなか1軒でやるのは大変なことを形にしてお役に立てたらと考えています。ECのプラットフォーム提供もその1つです。

渡辺
渡辺:

ヘアドネーション活動を続けているなかでいつも思っていることがあるんです。
誰でも好きなサロンに行けて、誰でも気軽におしゃれを楽しめる、そして、人の見た目に対して他人があれこれ言わず、誰もが自分が望むように、平穏に普通に暮らしていけるような世の中が来たら素晴らしいなと思っています。

それを今後担っていくのは、やっぱり美容業界なのかなと思っているんですよね。サロンにとってディーラーはとても身近な存在です。そのガモウ関西さんがJHD&Cの活動に共感して協力してくださっているのって、大きな意味があると思います。

今日はお忙しいなか、深いところまでお話しいただきありがとうございました!

コロナ禍とこれからの美容業界について

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