座談会
ISSUE JHD&C×花王 髪の毛の研究に関わる花王とJHD&Cの座談会-3
研究開発のテストに欠かせない評価毛について、疑問、偏見、「普通の見た目」とは何なのか、そして花王という会社と仕事について語っていただきました。
前ページ:くせ毛、白髪……髪のコンプレックス
白髪や髪の毛の疑問、ウワサについて
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今西:
白毛が黄ばんでしまうのは、どうしてなんですか?
JHD&Cに寄せられた白髪のヘアドネーショ
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長瀬:
光や紫外線、熱など、原因はいろいろありますね。ドライヤーやアイロンをやりすぎると黄ばむような傾向があります。
そういったダメージを抑えることで黄ばみを防止することはできると思いますが、一方で、すでに黄ばんでしまった髪の毛に対しては、少し「青」を入れると綺麗な白に見えることはあります。 -
渡辺:
「補色」ですね、うっすら紫というか、青みの紫というか。外国だと昔から薄い染料を入れた専用のシャンプーがありますね。
ところで黄ばみの原因って、メラニン※が少しだけ残っているということもあるんじゃないでしょうか。メラニンを毛母細胞(もうぼさいぼう)※が作らなくなるというよりは、徐々にメラニンが少なくなっていく中で、何かしらのメラニンが残ってるっていう可能性もあるのかなと思いますね。
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今西:
素朴な疑問なんですけど、1本の髪の中で、ここまでは白いけどここから先は黒いという状態の時がありますよね。髪は根元の方から生えてくるので、根元が白くなるのはわかるんですけど、白があって黒があって、また白に戻っている毛があるのが不思議で。あれはどうして起こるんですか?
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長瀬:
メラニンの機能が低下してくると、気まぐれに色を作ったり作らなかったりするっていうことがある気がします。どうしたら防げるのかっていうことは、まだ分からないですね。
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渡辺:
その時期に例えば体調が悪かったりして、その時には白くなってるんだけれども、元気になったらまたメラニンを作って黒になって、また何かの原因で作らないとか、体調や健康や加齢の影響を受けてますもんね。
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長瀬:
はい。ただ、規則正しい生活を送ったからといって髪色は不規則にならないのかというと、それはまた分からないんですよね。
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今西:
わかめを食べたら髪にいい、というのはただの迷信なんでしょうか。
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長瀬:
海藻についても、関係があるのかないのかも実際よくわかっていないんです。関係ないというデータもないといいますか。迷信的に言われていることの中にも、実は真実はあるんじゃないかと思っています。
歳をとるとくせ毛が増えてくる※っていうのは、これまでも経験談としてはあったんです。10年くらい前まではデータがなくて、本当かどうかがよく分かっていなかったんですが、その後の研究で調べてみたら本当だったっていうことがあります。
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今西:
歳をとったら髪が細くなるのはどうしてですか?
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長瀬:
男性も女性も、40代後半くらいでホルモン量が変わってくるんですけど、ちょうどその時期に髪質もガラッと変わるようなところがあります。何か関係ありそうなんですが、じゃあどうしたらいいのかっていうところまでは実はよく分かっていないというのが正直なところですね。
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重久:
髪の変化で思い出したのですが、先日、髪を見た美容師さんに「最近体調崩しましたか?」と聞かれたんです。そういえば少し前に熱を出しましたって答えたら、ああ、髪に出てますよって言われました。
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渡辺:
確かに、いつも髪を触っていると1本の毛を指でなぞるだけでわかりますね。でこぼこしているとか、手触りで。
CHECK!
- ※メラニン
- メラニン色素の種類と量によって、髪の色が決まる。メラニン色素にはユーメラニン(黒褐色系)とフェオメラニン(黄赤色系)があり、ユーメラニンが多く、メラニンの総量が多いのが黒髪。また、メラニンの総量が少ないのがブロンド。そして、いずれのメラニンをもほとんど含まないのが白髪。
- ※毛母細胞
- 毛根の一番奥の毛球にある、髪の元となる細胞のこと。毛母細胞が毛乳頭からの指示で分裂・増殖し、各部位に分化し、さらに角化したものを毛髪と呼ぶ。毛髪は死んだ細胞だが、毛母細胞が活発に分裂・増殖することによって押し出されるように伸びていく。個人差があるが、1日に約0.3ミリ、1カ月に約1センチ、1年間に10cm以上、髪の寿命を約5年とすると約75センチ伸びることになる。ちなみに日本人の髪は平均で約10万本。
- ※歳をとるとくせ毛が増えてくる
- 髪は外側からキューティクル、コルテックス、メデュラという細胞で構成されており、髪の太さやかたさは、髪の大部分(85〜90%)を占めるコルテックスの量で決まる。またコルテックス細胞は少なくとも2種類以上あり、それらが同心円状にまんべんなく分布していると直毛、やや偏って分布しているとくせ毛になる。
髪の形状は一生変わらないわけではなく、花王の研究ではダメージやエイジングによってくせやうねりが増加することが確認されている。
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